フシチョウ・・・・きゅうぞうの部屋
日々のできごと、好きなもの、好きなひと、 そして、病気のことなどを綴っていこうと思っています。。   
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或る夫婦の物語
     50数年前、旧家にひとりの女性が嫁いでいきました。

     この時代、男尊女卑の悪しき風習がのさばっており、

     嫁の立場は最も低く、特に田舎では、
     相変わらず、跡継ぎを産む道具として冷たく扱われていたのです。

     舅、姑、そして親戚一同の人間の尊厳をも破壊しかねない、嫁へのいじめ。

     しかも、第一子は女の子でありました。

     跡継ぎを産めなかったその嫁は、
     それからは、ますます地獄のような日々をおくり、

     とうとう堪えることができなくなったこの女性は、離縁覚悟で娘と共に
     
     この家を飛び出し、実家へと身を寄せたのです。

     昔は、嫁ぎ先を捨てた者には、戻る場所など用意されてはいません。

     その女性は、これからは自分自身が強くならなければ・・・・・・、
     娘を守り育てていかねばと、覚悟を決めたていたのです。

     そんな矢先、あろう事か、
     その女性の夫が家を捨て、妻子の下へと転がり込んで来たのです。

     長男であり、家を継ぎ、守り立てていかねばならない立場の人がです。

     今では当たり前のような光景が、この頃では到底考えられない行為だったのです。

     夫は妻を、深く愛していたのでしょう。

     苦労はしても、ふたり手を携え、歩んでいったのです。

     無口な夫ではありましたが、時々、友人、知人に
     「わたしは妻がいないと生きていけないんだよ。」と、
     独り言のように語っていたそうです。

     あれから随分と時が経ち、夫婦は年を重ねていきました。

     或る時は、夫が心臓を患い、

     また何時かは、脳梗塞で夫は倒れ、それでも妻の支えにより、

     生きながらえることができたのです。

     この時、夫は妻のもとへ帰りたい一心だったと、後に人づてに聴きました。

     しかし、このふたりを引き裂く出来事が起こってしまったのです。

     妻は自宅で転び、大腿骨骨折・・・・・。

     しかしながら、夫と一緒で、夫の住む家へ戻り、愛する夫の世話をしたいと
     懸命にリハビリにいそしみ、

     83歳という高齢でありながら、回復の兆しをみせていたのです。

     ところが、肺炎という病魔が、妻をのみこんでしまったのです。

     長い年月、何時いかなる時も共に過ごし、励ましあってきた夫婦が、
     とうとう離れ離れとなった瞬間でもありました。

     夫は気丈にも、妻の通夜、葬式を立派に執り行い、

     笑顔さへ見せていたものです。

     
     あれから毎朝、お仏壇に向かい、必ず夫はこう唱えます。

     「もう直ぐ、お前の傍に行くからね。」・・・・・

     「早く迎えに来ておくれ。」・・・・・・・

     「お前がいないと生きていけないよ。」と・・・・・・・。

     ひとつの夫婦の物語は、決してここで終結ではないでしょう。

     来世もきっと・・・・・・・、ふたりは一緒。

     このふたりを引き裂くことなど、誰にもできはしないのだから・・・・・。

     

     

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