フシチョウ・・・・きゅうぞうの部屋
日々のできごと、好きなもの、好きなひと、 そして、病気のことなどを綴っていこうと思っています。。   
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聖なる泉 ①
    皆さま、いつもお立ち寄り下さり、ありがとうございます。

    これからの数日、義母の手術やわたしの(乳せん外科)通院などで
    皆さまのところへお伺いできそうにありません。

    そして、ブログ更新できないでおりますと
    お優しい皆さまに、再び、ご心配をおかけ致しますので、
    以前、書き溜め放置していた愚作を載せさせていただきます。
    もしお時間がありましたら、拙い文章ではありますが
    目を通していただければ幸いです。

    わたしもまた時間の余裕ができましたらば、
    必ず、皆さまのブログへお邪魔させていただきますね。
    これからも宜しくお願い致します。

    では、史実も含めながら、昨年の春に遡ります・・・・。


    *   *    *    *    *     *    *    *

   いまだ肌寒さが残る3月の候、
   桜も満開とはいかず、暖かい陽射しを浴びたためか、
   風にゆらゆらと揺れては蕾たちが競演し、短い命の花びらを開花させようとしていた。

   そんな或る日、親友のみっちゃんに誘われ、
   以前から興味を抱いていた「マヤ文明展」に赴いた。

   その日は、何かを暗示するかのように、
   物悲しい蒼い空が広がっていた。
   こういう空を見上げると、何故だか胸がキュンとして無性に泣きたくなるのだ。
   
   博物館前には、人の波が列をなし、まるでわたしを拒絶しているかのようであった。
   やっとの思いで入館したものの、
   ニュースで持ちきりの「バーチャル考古学」なるものが設置されているところは、
   大人気で、とてもわたしたちが割って入るほどの隙間はない。

   それらは後ほど、ゆっくり観ていこうということで、
   他の、展示されている彩色土器やモザイク石彫などを鑑賞し、
   次なるマチャキラ石碑を食い入るように観ては、
   そこに描かれているマヤ文字の不思議さに見入っていた。

   そして、展示品の中に、誰にも見向きもされず、
   忘れ去られている一角があった。
   わたしは、そこに吸い込まれるように、いざなわれていったのです。

   小さな1体の骨が、
   しかも、身体の部位の骨が何箇所か不足しているのであろう、それらが
   無造作に横たわっており、どうやら生贄にされた少女の人骨のようである。
   その少女の周りには、指輪やネックレスなどの財宝が処狭しと並べられていた。

   神に捧げるとはいへ、他人に自分の生を操られるとは、
   なんと哀れで儚い魂なのだろう・・・・・
   そう考えていたとき、にわかに息苦しくなり、
   傍で一緒に、興味深くその人骨の説明文に目を走らせていたみっちゃんに
   倒れこんでしまったのだ。

   その様子を見ていた学芸員の男性が、素早く椅子を差し出し、
   わたしを座らせ、飲み物でも持ってきましょうと気遣いをし、その場を離れた。

   わたしは朦朧としている意識の中で、見目麗しい少女に出逢った。
   その少女は、白い絹をまとい、煌びやかな装飾品を身につけていた。
   その、あまりの美しさに、わたしは気分が悪いことを暫し忘れた。

   少女は、刺すような視線をわたしに向け、口を開いた。
   その口調は、頑なな表情とは裏腹な、
   頼りなげで、尚且つ、侘しさをも含んでいた。

   「わたしの名は、トンセノイといいます。
    わたしが居を構えていたところは、木々が密生し、
    日当たりが悪く、常に厳しい環境に身を置かねばならないほどの、
    不毛な土地でした。
    それでも、村人は貧しいながらも楽しく暮らしていたのです。
    わたしは、この世に誕生する以前から、
    村の長によって定め(運命)られた許婚がおりました。

    子供の頃より、共に遊び、共に学んでいたのです。
    一緒にいることが、あまりにも当然至極であったため、
    その事を微塵も疑うことなどなかったのです。

    ところが、成長するに従い、
    その決まり事が、非常に疎ましく思えてきたのです。
    それはなぜか・・・・
    わたしは、ブイレブという若者に恋をしてしまったのです。
    彼は勇敢で、きっといつかはリーダーとして
    皆を統率していくであろう力を持ち合わせていたのです。
    しかも、穏やかな人柄でもありました。

    そのうち、彼もわたしに夢中だということを知ったのです。
    しかし、そのことを許さぬ者たちがいました。」

    その少女は頬をつたう涙を拭おうともせず、話し続けた。
    彼女の流す涙には敵意も、遺恨すらも感じられず、
    素直な心が、わたしの内なる琴線に触れたのです。

 

                            つづく
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