フシチョウ・・・・きゅうぞうの部屋
日々のできごと、好きなもの、好きなひと、 そして、病気のことなどを綴っていこうと思っています。。   
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路傍の友
    何年も、何十年も、・・・いや、何百年もの間、彼は、そこにいた。

    「あなたはいいですね、そんなに大きく雄雄しくて。」と、隣の住人がいった。

    少し悲しそうに、彼はいう。

    「見たくもないものを見、知りたくもないものを知った。そして、夜は孤独だ。」と。

    「でも、あなたは、人々に崇められ尊ばれているじゃあないですか?」と、隣の住人

    「人は、自分が辛いことや、悲しいことに直面したときにしか、

    わたしを想い出さないのだよ。」と、寂しそうに彼は語った。

    「それでも、あなたは守られ生きている、

    これからもずっと、そこに立っていられるのです。」と、隣の住人

    「移り変わる景色の中で、わたしだけが取り残される。
         
     空を仰ぎ見れば、何も語ってくれない青空が広がっているだけ。
          
    鳥さへ、どこかの空に飛び立ち、わたしを置き去りにするのだよ。

    そして、君さへ、どこかに往ってしまう。」と、彼は侘しくいった。

    「わたしは、あなたにはなれない。そして、あなたも、わたしにはなれないのですね。」
    
    「これからも、孤独に打ち克ち、ここにいる。」と、彼がいった。

    遠くに人々の姿が見えて来た。

    その道に繋がっているであろう、この場所を目指して。

    「もう直ぐ、お別れです。お元気で。・・・・・・」と、隣の住人が悲しい顔を、こちらに向けた。
    気高く、聳え立っているその彼は、風もないのに、カラダを揺する。

    そして、「また、ここに独りで時を過ごさなければならない。

    いっそ、雷がわたし目がけて落ちてくれないだろうか。」と、彼は叫んだ。

    人々の声が近づいてきた。

    「ホンに、抜いてもぬいても、あやつらは性懲りもなく生えてくる。」と、村人。

    そして、隣の住人の足元へとやってきた。

    「わたしは往きますが、また、わたしの仲間が、あなたと供にいますから、

    では、さよ・・・・・・・・」と、終わらないうちに村人が「ズボッ」と、その住人を抜いた。

    「この、ご神木に何かあってはならないよ。まったく・・・。」と、吐き捨てるようにいう。

    誰も、彼自身のことなど気にしていないのだ。

    ただ、大きく、背伸びをし続けるご神木として、そこにいれば、人は満足なのだ。

    そこに立ってさえいれば、人は安堵するのだ。

    そして、時々、テレビニュースなどで彼を取り上げる。

    アナウンサーが、「この、ご神木に触りますと、大願成就するといわれており、

    お参りする人々は、後を絶ちません。」と、彼の傍で、まことしやかに語っている。

    誰も、その樹に魂があることを忘れ、・・・・・・・・・

    これから先も、孤独をジッと耐えるなど、誰が知ろうか?・・・・・・・・・・・・・・

    唯一の友は、もう、ここにはいない。・・・・・・・・・・・・・・・

           
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